平成30年7月吉日
卒業生の皆さま
全学同窓会 会長 児玉 隆夫
五代友厚記念事業プロジェクト寄付協力のお願い
謹啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
4年ほど前に卒業生の中から沸き起こった「市大キャンパスに五代友厚像を建てよう」という運動が多くの卒業生の協力を得て、2年余前に銅像建立の除幕式を迎えることができました。その節は本当にありがとうございました。五代友厚像は当時のNHK朝ドラの影響もあって大きな関心を呼び、たくさんの方に見に来ていただきました。今や五代友厚像は市大キャンパスの名所の1つになりつつあります。
しかし他方で五代友厚はどのような活動をした人かについて知っている人はほとんどいません。「大阪の大恩人」と言われながら、その地元でさえよく知られていないことは残念なことです。特に市大で学ぶ学生には、五代友厚が本学の元になる大阪商業講習所の創建に中心的な役割を果たした人でもあるので、五代についてもっとよく知り、その志を継いでほしいと願っています。
五代友厚について書かれている書物の数はかなり多いのですが、あるものは小説であったり、また、五代の活動の一部に焦点を当てたものであったりで、生涯にわたって史実に基づいて書かれたもので一般の私たちに読めるものは見当たりません。また、「北海道開拓使官有物払い下げ事件」のように国家が大金を注ぎ込んだ事業を五代たちがつくった関西貿易社が安く払い下げてもらおうとしたという報道で五代のイメージを悪くしている件などは、住友資料館報に載った近年の研究で五代本人の弁明書の発見されたことが明らかにされ、それによって五代の無実が判明するなど、これまで誤って伝えられていた事柄もいくつか分かってきています。
このようなことから全学同窓会は、五代友厚の業績について正しく知ってもらうために、また、より多くの人に知ってもらうために「五代友厚伝」を刊行することにしました。執筆は八木孝昌氏(経昭41)にお願いすることにしました。
全学同窓会としましては五代友厚の「銅像の建立」と「伝記の刊行」は両者で一対をなすものと考えており、今回の伝記の刊行も是非とも成功させたいと願っております。また、五代友厚記念事業プロジェクトとしては「伝記の刊行」の他に、五代友厚の志を受け継いだ海外に羽ばたく学生を育てるために、大学への寄付講座「国際ビジネス演習」および「海外インターンシップ」の実施も行うことにしています。「伝記の刊行」は3年以内、「国際ビジネス演習」と「海外インターンシップ」は、10年は続ける予定で、寄付金総額は2,000万円を目標にしております。
前回の寄付のお願いからまだあまり年月が経っていない中で再度の寄付のお願いをするのは誠に心苦しいのですが、銅像の建立に始まる一連の事業にこれで区切りをつけたいと考えております。卒業生の皆様におかれましてはどうかご理解をいただきたく、よろしくお願いいたします。
謹白