2020年4月6日(月)11時~12時 田中記念館3階会議室
【出席者】 【有恒会】
経営学研究科長 中瀬 哲史 会 長 岡本 直之(商昭S45)
経済学研究科長 中嶋 哲也 副会長 牧野 忠廣(経昭44)挨拶のみ
法学研究科長 安竹 貴彦 副会長 小林 俊介(法昭44)
文学研究科長 小林 直樹 副会長 宮川 庄一(経昭45)
創造都市・都市経営研究科長 新藤 晴臣 事務局長 上村 修三(商昭53)
記 録 中村 祐子(文平27)
◆有恒会 岡本会長
昨今の新型コロナウイルス感染拡大でお出かけにくい中を、またそれぞれの学科長として新学期関係行事の延期、中止の決定などご多忙の折、ご出席を頂き本当にありがとうございます。
今日は、来たる5/23の「有恒会創立130周年記念シンポジウム」の開催に先立って、現時点で ”新大学で各学科がどうなるのか?どのような変化があるのか?” また、”有恒会に期待することは?” 等、率直な意見を聞かせて頂ければと思います。
◆中瀬 商学研究科長
経営学研究科長としての自分と「有恒会130周年記念誌」に寄稿した自分の立場は微妙に若干違う。 学部長の立場としては、新大学の発足は決定事項であり、ある意味仕方のないものと捉えてできる限りよい大学を構築したいと考えている。 一方で「有恒会130周年記念誌」に寄稿した者の意見としては、自分自身が市大同窓生であり有恒会会員ということもあり、大学がなくなるという残念な思いがあってズレがあることは否めない。
「有恒会100年史」と100年史以降の「有恒会会報」を拝読して感じたことは、有恒会には130年の歴史とドラマがありそれはまさに壮大な “群像史” そのものである。 岡本会長、浅野先生と「有恒会130周年記念誌」の座談会で同意できたことは、強いつながりを有するという慶応の三田会のような同窓会にはなりたくないということ。 有恒会は自立した会員が緩いつながりを保ちながら130年続いてきた。 5/23のシンポジウムでは、“有恒会とはどういうものか” ということと、岡本会長も言われた “新大学に対する思いの温度差” について話したい。
◆中嶋 経済研究科長
市大経済学部の教職員は30名で新大学では44名となることから、今までの流れが途切れることはない。 プログラムも市大のものを引き継ぎ、教育内容が大きく変わることはない。 市大の行ってきた教育の基礎に府大の先生方が加わることで、市大元来の多様性のある研究をさらに広げて行くことができると考える。 経済学の素養を生かし、グローバル社会で他人と協力しながら問題を解決して行くことができる学生を育てて行きたい。 そして今までの経済学部の理念をさらに発展させて行きたい。
◆安竹法学研究科長
新大学発足は、市大出身者として個人的には正直寂しいものがあるが、やむを得ないと考える。 昨年まで6年間大学史資料館室長を務めたおかげで、学生や教員時代には見えてこなかったものを感じ、また市大に対する愛着も増した。 新大学になっても市大のよい伝統を受け継いでほしい。
府大から教員は3名入る。 組織自体は大半変わらない。 大きく変わらないことを法学部の特徴としたい。 市大法学部が出来た直後にある著名な先生が “ここには学問の風が吹いている” と述べられた。 これは自身の指導教員である牧英正先生がよくおっしゃっていたことであるが、今も忘れられないお言葉である。 70年前と今では時代も違い、風の強さは変わったかもしれないが、今も吹いていると信じてそれを絶やしたくないと思っている。 研究を優先してその成果を正しく学生へ還元し、教員・学生・同窓生が一体となる流れを絶やさないようにしたい。
法学部の組織は大きく変わらず、学部・ロースクールも大きく変わらない。 大学院では研究者養成のみならず、高度職業人養成(公務員・社会保険労務士・民間企業など)の志望学生を集めて優秀な社会人の養成を考えている。 法学部は公務員志望の学生が多いことからリーガルマインドをしっかり身につけた公務員を輩出して行きたい。
【有恒会 コメント】 同窓会では「公務員OBOGと学生の交流会」を毎年行っており、法学部の学生が毎回多数参加している。
◆小林文学研究科長
文学研究科は現状のまま新大学に移行する。 統合に先立って、昨年度から今年度にかけ、すでに学部(昨年)、大学院(今年)の改組を行ってきたからだ。 文学部は基礎学を重視する一方、社会の要請に応じて応用的学問の開拓にも務めてきたが、今回の改組では文化の社会的活用を担う実践的性格の強い文化構想学専攻を立ち上げた。 基礎から応用・学際へと従来以上に両翼を広げたかたちで新大学に移行することになる。
すでに2025年には、文系学部の中で文学部が先陣を切って森之宮キャンパスに移転することが決まっている。 (この決定は2019年8月における臨時教授会での苦渋の選択でもあった。) 懸念されるのは、府議会等で文学部が森之宮キャンパスへ移転する意義を問われたこと。 そのため、大阪城東部地区周辺のまちづくりとタイアップする研究・教育のあり方なども模索中である。
新大学の大学院でも優秀な研究者の輩出をめざし、学部でも従来通り卒論を重視して、批判的な思考力と他者への理解力を養いたい。 森之宮に進出することで、より優秀な学生が集まることを期待している。 シンポジウムでは統合に関わって組織が変わらないということと森之宮移転についてお話できればと考えている。
【有恒会 コメント】 文学部が森之宮へ移転することに対して、様々な思いを持っている文学部の卒業生に対し、シンポジウムでお話頂くことで理解を得られると考える。
◆新藤 創造都市・都市経営研究科長
創造都市研究科から2018年に都市経営研究科へ改編された。 研究科の改革を進め、競争力のあるものにすることがとても大事だと考える。 受験倍率は初年度2倍となり社会人の志願者が増えている。 2020年3月に初めての修士修了者を出した。 4月から博士後期課程が開設され7名の学生が入学した。
新大学になっても組織自体は変わらず、拠点である大阪駅前第2ビル6階のロケーションも変わらない。 また、統合後は新大学で唯一の社会人大学の位置づけとなる。
一番の課題は、創造都市研究科として今まで当たり前にやってきたことを、新しい先生方とカルチャーを共有しながら体制をつくること。 同窓会でのかかわりを見ると、創造都市の学生は、梅田で学び卒業していくという形態である。 そのため市大(杉本町)とのなじみが薄くなりがちである。 大阪市立大学の卒業生であるという認識をうまく作ることが課題。 従来の創造都市研究科と現・都市経営研究科のコースとをつなぐのが難しいところでもある。 シンポジウムでは外の学部から見て、“都市経営研究科とは何をやっているのか” 見えにくい点をきちんと説明したい。
【有恒会 コメント】 同窓会では「卒業生のためのビジネス交流会」、女子学生を支援する「シスターフッドプログラム」を毎年行っている。
【有恒会への質問】
◆中嶋 経済研究科長
有恒会は新大学とどうかかわるのか、内部で議論されてきたのかを知りたい。 130年の歴史を持つ有恒会の会員は、大学に対する愛着やアイデンティテーを持っていると考える。 そのため新大学になることには違和感が生じていると察する。 また2022年以降の文系学部の卒業生が有恒会の所属になるのかも知りたい。
【有恒会 コメント】 すでに新大学に対する同窓生の意見を聞く座談会の開催や会報誌への意見投稿を行い、大学側へ意見を提出している。 同窓会報誌が今後どうかかわるかは現在検討中。
各学部と同窓会の1本化をはかるために調整している段階。 新大学でも有恒会は継続する。 全学同窓会を支えるのが有恒会の重要な役割と考える。
◆小林文学研究科長
有恒会においては同窓生の意見を反映させてほしい。また新大学発足後も会報誌を展開して頂き、ご意見を賜りたい。
◆安竹法学研究科長
2022年以降の卒業生は有恒会会員となるのか?
【有恒会 コメント】 有恒会は永遠に継続する。 全学同窓会も作りそれを支える体制となる。
◆中瀬経営研究科長
大学側との関係性について「公立大学法人大阪」としての中期計画案が議論された中で、同窓生と大学の関係という部分が希薄と感じたので “同窓生との関係の構築” という一文を入れた。
有恒会は130周年の歴史があり今後もリードして行くべき。 卒業後に有恒会として入ってくる学生あれば、出ていく学生もいる。 放っておけば有恒会の足腰が弱まるので、受け皿となる新大学の同窓会ができていないといけない。
・理系学部の同窓生との関係をどのように作っていくのか?
・統合後の「有恒会」を将来的にどう発展させるのか?
・新大学では、同窓生はどこの同窓会に帰属するのか?
一連の考えられる問題についてどこまで議論すればよいのか? 等々・・・
文系4学部で多様な議論をする必要がある。ちょっとやり方を間違えるととんでもないことになる。
今後有恒会中心でやっていく色合いをどのように出すべきか検討が必要。
【有恒会 コメント】 有恒会は同窓生を永遠に受け入れていく。 支部は有恒会の看板をはずしている。
しかし組織運営は有恒会があくまで中心となる。 2022年には卒業生の帰属場所・部門をはっきりさせたい。
新大学同窓会は有恒会が支えていることを表に出す。 同窓会として会費等の資金集めは大学と一緒に集める仕組みを作らないと成り立たない。
5/23シンポジウムでは、おひとり持ち時間10分で東京会場とつなぐ予定。 中止になった場合は、後日先生方のビデオメッセージを配信して同窓会・有恒会HPへUPする。 放送研究会に協力を依頼し撮影させて頂きたい。 また5人の先生方に集まって頂く機会を得たい。
以上